バーナーワーク

「降谷さん、つかぬことをお伺いしますが……それは?」
「ん?何だ風見。見てわからないか、バーナーだよ」
「いえ、それは分かっていますが……」

 久々に上司が登庁したかと思えば、バーナー片手に何やら硝子のような物を熱していた。透明のゴーグルすらも着こなしている降谷さんに頭が痛くなり眉間を押さえる。これだからイケメンは……!!大体、他の連中はおかしいと思わないのだろうか。……否、愚問だな。降谷さんに冷静に突っ込める者など居るわけがなかった。
 それにもしかしたら、これも何か重要な任務なのかもしれない。熱した硝子の形を整えながら、更に別の色の硝子を足していく。暫く眺めていると、何やらやけに見覚えのあるフォルムが完成した。

「……僕だ。どうだ、よく出来ているだろう?」
「はあ……」
「バーナーワークと言うんだ。流石にこのぐらいなら、個人を特定しようもないし大丈夫だろう」

 潜入捜査中の降谷さんは、写真など姿が特定出来るものは御法度だった。まあ、確かにいくら手先が器用だといっても、親指の第一関節分ぐらいの大きさの小さな硝子細工などで個人を特定出来る筈もないのだが。その後もくるくると硝子の棒を回してせっせと人形を作る降谷さんを横目で見つめ、この人何徹目だったか……?と頭を抱えたのだった──。